お好みのハーブ
植物の葉や花を乾燥させたもので、ヨーロッパでは古くからホームケアに使用されてきました。
多彩な種類の中から、特に美容に適したものを選んでお届けしています。
こんにちは。ライターのおおうちです。
植物が芽吹き始める、この季節。
街のあちこちに、花の蕾や新芽を見つけることができ、
植物のパワーに後押しされて、新しいことにチャレンジしたくなる時期でもあります。
さて、今回は、身近な素材を使って手軽にトライしやすいハーブ染めをご紹介します。
植物から生まれる天然の色合いには、心がほっこり和む優しい癒しのちからを感じられます。
春休みにお子さまと一緒に取り組んでいただくのもおすすめですよ。
染色の技法は多岐に渡りますが、今回は、材料も道具も特別なものを使わずにキッチンでできる、基本のハーブ染めをご紹介します。
■材料
・染める素材(綿100%または絹・麻など)
※今回は無地のエコバックと落ち綿ふきん(いずれも綿100%)を使用しました。
合成繊維は染まりにくいので、素材を確認してください。
・ハーブ(ドライ):染める素材の30~50%の重量
・豆乳:下処理に使います。
・焼ミョウバン:媒染液に使います。
・お茶パック
■道具
・はかり
・計量スプーン
・温度計
・割り箸
・鍋か火にかけられる桶
・ボウル
■下準備
1. 媒染液の準備
媒染液とは、染める色素を定着させる役割のもの。
洗濯や日光による色あせや退色を防ぎ、堅牢度を高めるため、また発色をよくするため、媒染という作業を行います。
今回は比較的入手しやすい焼ミョウバンを使い、媒染液をつくります。
熱湯100ccを入れたビーカーに焼ミョウバンを20g入れ、15分ほど湯煎して溶かしておきます。
無色透明になり、しっかり溶けたらミョウバン媒染液の完成です。
2.素材の下準備
染める素材の重さを量っておきます。
一度中性洗剤で洗い、よくすすいで風通しの良い場所で乾かします。
さらに、綿や麻など植物性の繊維は、染め付けをよくするためにさらに濃染処理(たんぱく処理)を行います。
濃染処理をする場合は、水で倍量に薄めた無調整豆乳に無調整豆乳に1時間程度つけておきます。
できるだけ素材全体が豆乳に浸かるようにしておくとムラになりにくいです。
1時間程度経ったら、洗い流さずに手でしぼって、できるだけシワをのばして乾かしておきます。
一般的にたんぱく質成分をもった動物性の繊維(ウールや絹)は染色分子と結合しやすく、たんぱく質成分がほとんどない植物性の繊維(綿や麻)は染まりにくいと言われています。
ですから、タンパク質成分を植物性の繊維に染みこませて、濃く染めるための手伝いをしてもらうのですね。
よりしっかり染めたい場合は、乾かした後にもう一度豆乳につけ置きし、再度乾かします。
短時間で乾かしたほうがムラになりにくいので、お天気の日に作業をするのがおすすめです。
■作り方
1.ドライハーブを染めたい素材の30~50%の重さに量り、お茶パックに入れます。
お茶パックを二重にしておくと煮出す時に茶葉がこぼれにくいのでおすすめです。
今回は紫根を使ってエコバックを染めてみます。
エコバックの重量が34gでしたので、その40%程度の14gの紫根を使っています。
2.鍋やホウロウの桶に1.5リットルのお水とハーブを入れ、火にかけて、煮出します。
少しずつ紫根の色が出てきています。
3.弱火で15分程度抽出したら、かなりしっかり色が出てきました。
ほんのり紫根の香りが心地よいです。
火をとめて、紫根の入ったお茶パックを取り出します。
取り出す時には、抽出液をしっかり絞り出しておきます。
4.3.の抽出液に、染めるものがしっかり浸かる程度まで水を加えたら、染液の完成です。
ここに、下準備しておいた素材を浸します。
5.火にかけて、50℃程度を保ちながら、15分程度染色します。
6.箸で取り出し、ボウルに入れた水で軽くすすぎます。染液は再度使うのでそのままとっておきます。
7.別のボウルに染めるものの重量の30倍程度の水を用意し、下準備しておいたミョウバンの媒染液を加えます。(水2.5リットルに対し、大さじ2杯が目安。)
8.6.で軽く洗った素材を7.の媒染液の中に15分程度浸します。ときどきかき混ぜてください。15分経ったら、媒染液から出し、水洗いします。
9.8.の素材を再度染液に浸します。
10.火にかけて、ときどきかき混ぜながら、80℃まで温度をあげます。
80℃になったら、火を調節して10分程度温度を保ちます。火を止めて、そのまま常温まで冷まします。
11.素材を取り出します。流水ですすぎ、絞って、風通しのよい場所に陰干しします。
12.染液から取り出した時は、ピンクベージュのような色合いでしたが、乾くと色味が落ち着いて、柔らかみのある優しい桃色に仕上がりました。
少しムラもありますが、それもまた手染めならではの味わい深さでしょうか。
娘も大満足。早速レッスンバックに使いたいと予約されてしまいました。
同じ方法でもハーブの種類や染める素材によって染め上がりの色が異なり、新しい発見ができるのもハーブ染めの魅力。
媒染液を変えるとさらに広がりがでますが、今回はまず、媒染液はミョウバンのまま、素材も綿のまま、ドライハーブの種類を変えて染めてみました。
レモングラス・オーガニックのハーブ染め。
下準備で豆乳に2回浸したからか、かなりしっかり色づきました。
どこかにグリーンを感じさせるイエローが春の気分を盛り上げてくれそうです。
ゴボウ・オーガニックのハーブ染め。
落ち着きのあるモカベージュカラーに。
未晒しのふきんも、味わい深いおしぼりとして使えそうです。
実はこのふきん、またアレンジしようと思っているので、また次回以降ご紹介しますね。
それぞれ違った色味ですが、ハーブならではの優しいトーンはなぜか自然の調和を感じる染め上がりに。
みているだけで、ほっこり癒されてしまいます。
今回はドライハーブを使い布を染めましたが、フレッシュなハーブやお花など自然の植物を使って、また、糸や紙などを素材にして染めることもできます。
天然の植物を染料として染めるので、ナチュラルでやさしい色合いのものが多いですが、同じハーブを使っても、毎回染め上がりの色が異なり、想像もつかない色が生まれたりと、新しい発見があるのも手染めの面白さです。
自然な色合いとその素朴さがとても素敵なハーブ染め、一期一会のカラーをぜひ楽しんでみてくださいね。
ハーブ染めをより詳しく知りたい方におすすめの書籍
「母と子の草木染ノート」山崎青樹著 美術出版社
「ハーブ染めレッスン」梅原亜也子著 誠文堂新光社
「やさしいハーブ染め」箕輪直子著 誠文堂新光社
ライター:おおうちなみ
アロマテラピーインストラクター。ハーブ&ライフコーディネーター。「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、暮らしに取り入れやすいアロマクラフトやコスメ作りなど、様々なアイデアを提案しています。
植物の葉や花を乾燥させたもので、ヨーロッパでは古くからホームケアに使用されてきました。
多彩な種類の中から、特に美容に適したものを選んでお届けしています。
15mlが計量できるステンレス製スプーンです。
古代から日本人に愛されてきた”ムラサキ”と呼ばれる紫色のハーブの根を乾燥してカットしたハーブです。
シコニンが含まれ、お肌をすこやかに保ち、肌荒れケア、エイジングケアにおすすめのです。
BGやオイルなどでエキスを抽出して化粧品に加えてお使いください。
レモングラスの葉を乾燥してカットしたハーブです。
肌を引き締める作用があると言われるため、手作りのパックや石鹸のオプションとしておすすめです。
虫除け効果もあると言われているので、気になる場所にポプリとしてお使いいただけます。
ゴボウの根を乾燥してカットしたハーブです。
お肌をすこやかに保ち、肌荒れケアにおすすめです。
BGやオイルなどでエキスを抽出して化粧品に加えたり石鹸のオプションなど幅広くお使いいただけます。